『囚われの身』
---コンコン


「誰も居らんのかな・・?」

扉を叩いても、応答がありません。

ハイドは軽く扉を押してみました。


---ギィィィィ


「すみません。誰か居ませんか?」

やっぱり、応答ありません。

ハイドはお城の中を探す事にしました。











「ママ、女の子がお城に来たよっ」

ハイドがお城の中に居たのを見たティーカップの男の子が

お母さんのポットに教えました。

この男の子の名前はチップ。

お母さんはポット夫人。

ポット夫人は、このお城の料理番です。

「また、そんな嘘を言って!」

ポット夫人はチップの言う事を信じません。

「本当なんだからぁ」

チップが拗ねていると、羽ぼうきが走って来ました。

「聞いて!!お城に女の子が来たわよっ!!」

羽ぼうきは興奮しながら言いました。

「ほら、僕の言った通りだ!」

「こんな事してる場合じゃないわ!身に行きましょう!」

ポット夫人がそう言うと、3人は急いでハイドの所に向かいました。



「大変だ!お城に女の子が来たぞ!!」

ルミエールが興奮しながらコグスワースに知らせます。

コグスワースはルミエールと因縁の仲。

魔法によって時計に変えられてしまいました。

「本当か?!早く見に行くぞ!!」

そう言うと、二人もハイドの所へ向かいました。




お城の中が暗いせいか、

みんな、ハイドの事を女の子だと思っているようです。









少しすると、みんなハイドが居るところに集まりました。

みんな陰からハイドの事を見ています。

「中々、可愛い子じゃないか」

「そうだな。もしかしたら、あの子が呪いの魔法を解いてくれるかもしれないぞ」

「・・でも、ちょっと待って。あの子、男の子じゃないかしら?」

しばらく見ていると、やっと、ポット夫人が気付きました。

「そんなバカな・・!」

みんなは、ハイドの事をジッと見ます。

「本当だ・・」

みんなもハイドが女の子ではないと気付いたようです。

「でも、あの子は女の子のようにに美しい。今は、あの子に頼るしかない」

ルミエールがそう言うと、みんな頷きました。

みんなは作戦をたてました。

ハイドをテツのところに行かせる。

そうすれば、テツの身代わりにハイドがこのお城に残るかもしれない、

そう考えたのです。









作戦実行です。

ルミエールが姿を見せずに、ロウソクの光だけでハイドを導きます。

「なんやろ、あの光。誰か居るんかな?」

ハイドは、光を見つけると、その後を付いて行きました。

作戦成功です。

ハイドは、光を頼りに進んでいくと、ある部屋に着きました。

そこは、テツが捕まっている牢屋でした。

「・・テッちゃん?!」

ハイドはテツを見つけると、テツの元に近寄りました。

「ハイド?!何でここに?!」

ハイドはテツの手を握ります。

テツの手は凍るように冷たくなっていました。

「テッちゃんを助けに来たんや!どうしてこんなところに・・」

「ハイド、ここに居るな!!早く逃げるんや!!」

テツがそう言った時にはもう遅く、

ハイドは王様に見つかってしまいました。

「そこで何してんねん!!」

ハイドが振り返ると、王様が自分の事を睨みつけていました。

「お願い!テッちゃんは病気なんや。ここから出して!!」

ハイドは怖かったけど、勇気を振り絞りました。

「そいつは囚人や。逃がすわけにはいかん!」

ハイドは王様にそう言われて少し考えました。

そして、テツを見ると決心しました。

「俺が、テッちゃんの身代わりになる。せやから、テッちゃんを逃がして」

ハイドがそういうと、テツが叫びます。

「駄目や!!ハイド!!そんな事許さへん!!」

王様はテツの事の言葉を無視しました。

「ええやろ。そのかわり、一生ここに居ると約束するんや」

「分かった。約束する」

ハイドがそう言うと、王様はテツを牢屋から出しました。、

「ちょっと、待って!!」

ハイドが叫びました。

しかし、王様は無視し、テツを自動に走る機械に乗せてしまいました。



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