何だか、無償に電話したい時ってない?

俺はね。今そんな気分やの。





-----プルルルルル・・・・



「あっ。もしもしケンちゃん?」

「ん?どうしたん?」

後少しで会えるのに電話を掛けて来たテツを不思議に思ってるみたい。

「別に。何か電話したくなったん」

テツがそう言うと、ケンはハハッて笑った。

「なんやそれぇ〜後ちょっとで会えるやん」

口ではそう言ってるけど、嬉しそうなケン。

「ええのっ電話したい気分なんやもん」

「はいはい。・・・あっ、今テツんちのマンション前やで」

ケンにそう言われてテツはケンが自分の家の前に居るのを想像する。

そうすると、何だかワクワクしてきた。

電話越しにコツコツとケンが歩く音が聞こえる。

「今、エレベーターやで」

そうすると、電話越しにエレベーターのウィィィィーンという音が聞こえてくる。

ますますワクワクしてくるテツ。

チンという音が聞こえて、エレベーターの扉が開く音がする。

すると、またコツコツと歩く音が聞こえてきた。

テツの家まであと少し。

「あとちょっとでテツんちやでぇ」

ケンがそう言うと、

テツは急いで玄関の扉の前に立ってスタンバイした。

そして、少しすると。


ピンポ−−−−ン


ほんの少し遅れて電話からも聞こえた。

テツは電話を耳に当てながら勢いよく玄関を開けた。

「おかえりっ!!」

そこには、電話が教えてくれてた通りに

ちゃんとケンの姿。

「なぁ、電話切ってもええ?」

玄関で、目の前に居る人同士が電話を通じて話ている。

何とも不思議な光景。

「なんでぇ?」

「だって、テツの生声ちゃんと聞きたいんやもん」

「しゃぁ〜ないなぁ」


----ブツッ


「おかえり」

「ただいま」

『やっぱコレだね』と言うかのように、

二人ともニコッと笑った。


あとがき。

えっと、設定(?)はケンちゃんがテツに頼まれて近所に
おつかいに行ってきた。って感じですかね。
いつもと違う不思議(?)テツでした。
100

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