「ケンちゃん見て見てぇ〜!!」

そう言って、ハイドが何かを持ってパタパタと近づいて来た。

「ん〜?なにぃ?」

ケンがハイドが手の中にあるモノに目線を向けた。

それは、小さな木箱。

ハイドは木箱のフタを取った。

中には小さい虫。

ガラスがあって出られないようになっている。

「・・・コオロギ・・?」

ケンが不思議そうに木箱の中を覗く。

「うんっ!俺のペットやねん」

ちょっと自慢そうに言う。

「・・・めっちゃ小さいなぁ」

ケンはその小ささにビックリ。

「ちっちゃくて可愛いやろぉ〜」

ハイドはそう言うと、何処かに行ってしまった。

たぶん、テツとユキヒロにも見せに行くのだろう。

ハイドの後ろ姿を見てケンは思う。

『なんで、虫をペットに?!』と。





数週間後。

ケンはハイドの家に遊びに来ていた。

そして、ふとハイドのペットの事を思い出した。

「なぁ、ペットどうしたん?」

ケンが聞くと、ハイドはダルそうに答える。

「う〜ん。あれな、うるさいからトイレに居るよ。

 しかも、共食いして今居るの一匹だけ」

ハイドは既にコオロギに飽きたらしい。

それでも、一応ご飯はあげてるし、トイレに行った時は様子を見ると言った。



ちょっとしてからケンはトイレに行った。

用を足してから、ふと気になったのは『共食いコオロギ』の存在。

「・・・ちょっと見てみよっ」

ケンは、小さな木箱を手に取ると、フタを開ける。

「うわっ。ホンマに一匹しかおらへん」

いじめてやろうと思い、ケンは木箱を振ってみた。

すると、何がどうしてどうなったのか、コオロギが木箱からピョンッと飛び出し、

そのままトイレに溜まっている水へとダイブしていった。


---ポチャンッ・・・・


一瞬にして、いやぁ〜な空気が流れる。

もがき苦しむコオロギ。

「・・・・あっ・・」

『助けないとっ!!』と思った時は、もう遅し。

コオロギはトイレの水の上にプカーンと浮かんでいた。

「・・・ヤバッ」

しばらく、どうしようかとコオロギを見つめてたケンだが、

流石にトイレの水に手を突っ込むのは嫌だ。

と、いう事で・・・結論・・・流してしまえ。

「・・・スマンっ・・・さよ〜なら〜」


---ジャァァァァー・・・・


ケンは、何もなかったような顔をしてトイレから出ると、

『今日、約束あんの忘れてた』と言って、足早にハイド家から逃げて来た。




---次の日。

ハイドがケンに声を掛けた。

「ちょっと、聞いてぇ!!コオロギがな・・・」

『コオロギ』とハイドが言った瞬間、あの事がバレたと思ったケン。

冷や汗が出てくる。

「こ、コオロギがどうしたん?」

なるべく普通に言ったつもりだが、

思わず声が裏返ってしまった。

「あんな、コオロギがなっ、自分で自分を食べて死んだっ!!」

しばし流れる沈黙。

その間にケンの脳みそはフル活動。

(ん??自分で自分食べた?!・・・さすがハイドやわ、意味分からんっ。

 でも・・・と、言う事は俺がトイレに流したって事はバレてないって事・・・??)

ケンはハイドに合わせて話しを進める。

「ん?どういう事?さっぱり意味分からん」

「だから、自分で自分を食べて死んだんやってば!!

 だってな、箱ん中にコオロギ居らんし、一人で箱から出れるわけないやろ?」

ハイドは力説する。

ケンは、流した事を知られてないと知ると、

またまた適当に話を合わせた。

ハイドは、一通り全部ケンに言うと、どこかに行ってしまった。

たぶん、テツとユッキーに話にいくのだろう。

『自分で自分食べて死んだ』なんていう、絶対ありえない事を。

たぶん・・・と言うか、確実にハイドはテツとユッキーに馬鹿にされるんだなぁ〜っと

ケンは思い、心の中で謝った。

(スマンっ。ハイド!!あれは事故やったんやぁ〜・・・)


あとがき。

どばぁー!!!って書いたから、話まとまってないっ(汗)
何か、フッと思い出したんです。コオロギ君を。
もう、死んじゃったのかなぁ・・・ちょっと気になる。
・・・死んでそう(笑)
kh

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